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Rocky's eye No18 「知行合一と敬天愛人」

インドで誕生した仏教が本国で開花できなかったように、中国で生まれた陽明学は日本に安住の地を得ました。

中国は明の時代に王陽明(1472~1528)という文武両道の達人がいました。王陽明は38歳の時に『知行合一(ちぎょうごういつ)』を唱えました。人間誰でも多少悪い思いが浮かんでも、それを行為に移さなければ誰にも咎められることはありません。ですが、『知行合一』では、「思い」 と「行動」は元々一つであり、分けることはできません。

曲がったことが大嫌いな王陽明は45歳の時、今でいう検察庁長官に任命され、治安維持に奔走、 職務を遂行するために、それから亡くなるまでの12年間に、数えきれぬほどの戦を行いましたが全 戦全勝し、そのなかには戦わずして勝利した戦もいくつかありました。陽明35歳のころ、あるとき暗黒政治を正す勢力に加担したとして、逆に牢獄に入れられ鞭打ちの刑を受けました。奇跡的に一命 を取りとめたものの、貴州省の山奥の僻地に左遷されました。最悪の境遇にも拘わらず、求道者の彼は益々修行に励み、ある日突然雷が落ちたような衝撃を覚え、己自信が宇宙と一体であることを悟り、陽明学という思想を完成させます。

さて、日本で一番多く書かれている書物は西郷隆盛に関する本です。西郷が亡くなって134年経っ た今でも、西郷に関する本は年間2~3冊出版されています。また、西郷に魅了されるのは日本人のみならず、中国・台湾の国父である孫文はじめ、多くのアジアの活動家に読まれてきました。なぜ多くの西郷に関する本が出版されるのか。それは西郷隆盛という人物の核心に未だに誰一人として触れていないからです。西郷の生涯は歴史の教科書には決して載ることのない、人知を超えたドラマが隠されています。

明治新政府樹立後、萩や佐賀、そして神風連の乱が熊本で相次いで勃発しましたが、これ以外にも全国的に新政府に対する不満は日を追うごと増し、このまま続けば、いかに新政府といえども押さえられないような状態になるのは明らかでした。しかし、城山で終焉した”西南の役”を境に、これらの武士の不満が完全に息を潜め、新政府は殖産興業の育成と軍備増強に注力することができました。西郷は、周りからは天敵と思われた大久保利通が主導する新政府の行く末をも案じたのは勿論のこと、まだ見ぬ日本の未来のために我が身を天に任せました。更に、西郷は早くから北方の脅威といつか必ず一戦交えることを予測し、そのためにいろいろと準備も整えています。朝鮮との間に信頼関係を築くこともその一つでした。彼の予想は死後27年目の日露戦争で現実のものとなりました。もし、西南の役がなければ政府軍は後の、日清、日露には勝利できていませんでした。

西郷が35歳の時(1862)、薩摩の沖永良部島へ流罪となりますが、1年6ケ月牢獄生活は、西郷にも、王陽明に突然雷が落ちたような衝撃を与え、己自信が宇宙と一体である悟りと同じような体験をさせます。王陽明や西郷隆盛の体験は言葉では説明不可能ですが、西郷のこの体験が理解できなければ、どんなんに後世の書物が西郷のことを書こうと、西郷の実像に1ミリたりとも近づくことができません。このような理由から、歴史は今なお、西郷を、”不思議”、”大物” という言葉でしか表現できな いのです。西郷の沖永良部での体験は、一見人知を超えたもように聞こえますが、それは遠い昔に人類が忘れてしまった真実。即ち、宇宙の法則そのものが人間(として表現されている)であり、同時 に、これまで宇宙の法則を歴史が”神”と呼んできたことでした。この時、西郷は、人類がとんでもな い可能性を内に秘め、且つ、崇高な存在であることを知らされとても大きな衝撃を受け、多くの感激 の涙を流しました。

陽明学は全てを一体として捉えます。特に殆どの経営者たちは、例外なく、日々の日常生活と企業経営は別物と考えますが、陽明学を基本とすれば、日常生活と事業経営の時間は共に一体であり、別々に分けられません。日常生活も経営もただの技術の一つなのです。また、陽明学は西郷隆盛始め、大塩平八郎、吉田松蔭、更には、クリスチャンの内村鑑三や政界の指南役と呼ばれた安岡正篤らが学んだほか、幕末の志士たちにも人気があり、2.26事件などの政府転覆の機運が高まる時代には、不思議と陽明学を心の拠り所とする者が増えるなど、日本にも多大な影響を与えました。

今でも政治に対する不満が高まり、同時に経済危機や環境破壊など、これから人類は数多くの危機に立ち向かわなければなりません。大衆に不満が高まると、どこかに期待を求めるものですが、政治や経済、環境の危機にも特効薬やスターは必要ありません。特効薬に見えても、人間の根本が変わらなければ元の木阿弥なのです。しかし、唯一の処方箋は温故知新という言葉ではないでしょうか。過去の歴史の中で、人々の不満が高まった時、先人達は何を心の拠り所にしたかを思いだせばよいのです。

王陽明翁や西郷隆盛翁の悟りは、実は遠い昔は赤児にもわかる程、特別な理解力を必要としませんでした。一人ひとりが自分自身の内側にある神秘に触れ、日々起こる些細な問題にも手を抜かず精一杯心を込めて感謝報恩のなかで生きれば、いつの日かそれが自分でも信じられないような大きな力となります。

ソロモン、モーゼ、ブッタ、イエス。 彼らは知っていました。自分らのように一人の悟りが、国家を蘇らせ、存在が希望になる瞬間であることを・・・。

 

拝 Rocky Tamotsu

 




 



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