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Rocky's eye No4 「最後の花火大会」

昔から、母乳を与えている時の女性の姿が一番美しいとか、観音様に 見えるなどと言われます。母親なら誰しもお乳を口に含む我が子の顔に愛と安らぎを見出します。どんなに時代が変わろうとも人を愛することはお金では買えがたい究極の姿です。神様から人間への愛。恋人たちの愛。親から子供への愛。いろいろな愛の形がありますが、愛を与え続け見返りを求めない愛を無償の愛(旧約聖書ではアガペー)と呼びます。命がけで外敵から子供を守る動物や、子供の病気や怪我の回復のために不休不眠の看護を続けたり、不治の病に冒された子供の健康と引き換えに自分の命を差し出すお願いを神様にした方は珍しく ないはずです。

さて、“かごしま錦江湾サマーナイト大花火大会”が先週の8月20日に開催されました。鹿児島では一大イベントですが、私にとって第1回目の花火大会のことは一生忘れることはできません。

第1回目の花火大会は今から11年前の8月26日に開催されました。 当日は予想を遥かに上回る大勢の見物人で市内の高台はどこも人、人、人。人口55万の小さな町に25万人の見物各が繰り出した大イベン トとなりました。花火大会は鳴り物入りで数ヶ月前から告知されており、花火が見えるレストランやホテルはもう随分前から予約で一杯。 鹿児島市街地を見下ろす高台に立つSホテルも当日は365五の部屋も6つあるレストランも全て超満員。お盆の帰省ラッシュのようにキャンセル待ちのお客様で一杯でした。

そんな中、花火の当日の朝、ある女性から花火が見える客室とレストランの予約がしたいと予約係りに電話が入りました。勿論、そのような電話は他にも多かったため、気にもとめずに全館満室だということと、夕方に再度連絡頂ければ、直前にキャンセルがでる可能性が少し残っていることを予約係りに告げてもらいました。

あと数時間で日が暮れようとしていた頃、忘れていた先の女性から2度目の電話がホテルに入りました。丁寧にお断りするようにと予約係りの伝えたその時、電話の向こうから『これが娘の最後の花火大会になるかもしれない・・・』との内容を予約係りの方が教えてくれました。後に声の主であるお母さんの元には病院に入院している余命わずかな小学生の娘さんがいること、その声がK大学付属病院の公衆電話からかかっていたことが分かりました。

ホテルの最上階にある高級レストラン”スカイラウンジ”の最高の席で 母子2人で見る花火大会。口一杯にスパゲッティーとピラフをほうばりながら夜空に舞う花火に見とれている少女と娘の顔を見つめるお母さん。そこには無償の愛がありました。

さて、日本では、世界を見渡しても類のないほど補習事業が巨大ビジネスとして発展しました。一流高校から一流大学、そして一流企業に入ることを親は望んでいます、また、親は子供が小さな頃から呪文もように「高学歴」を連発してきたために、彼らも高学年に進むにつれて、極力リスクをと取らない職業を選択するようになってしまいました。一方、欧米では、一流の教育機関に進めば進むほど、生徒の目標は、独自で起業したり、小さくても働き甲斐がある企業への就職であり、日本人学生の、大企業への就職観へとは180度異なっています。

殆どの母親は周りの子供と我が子を比べて『人並み』という物差しを使ったり、自分で描いていた理想を基準に子供が良いか悪いか判断しています。予定になかったり、望んでいなかった行動をとりはじめると、『こんなはずではなかった』 、 『言うことを聞いてくれない』 と思い通りに育ってくれないことを真剣に悩み、子供に修正作業を強います。本来ならば母性を通して、優しさ、思いやり、温かさを教えなければならないのに、勉強と運動ができ、おまけに親孝行するようにと、ないものねだりという怪物がどんどん大きくなります。

福岡の友人増田真司さんはいつもかっこいい服に身を包みベンツを運転する青年実業家です。一見インテリヤクザに見えるほどキザですが、 実は彼のもうひとつの顔は神主さんです。自分が神主であることが恥ずかしいのか、いつもふざけて自分のことを『なんちゃって神主』と呼んでいます。

増田さんには3人の子供がいますが、長男の良太君は胸郭骨形成不全(きょうかっこくけいせいふぜん)という生まれつき身体に障害を持 って生まれてきました。福岡大学附属病院では主治医から、この難病は今まで24ヶ月間以上生きた実例はないことを告げられました。増田さんは良太君が物心ついた頃から、『オマエは病気ではない!』と 念を押すように言い続け、その甲斐あってか、4歳までは6回も心臓が停止するなど死の淵に何度も足を突っこんだのが嘘のように元気に なり、毎年世界最長記録の誕生日を迎えています。良太君の最初の手術の時、増田さんは、『もし良太の命が助かるのなら、自分の命を神に捧げる。世の為に使って下さい』とお願いしたそうです。この時、 神様と交わした約束を実行するために増田さんは神主になることを決心しました。今では、3人の子供たちは毎朝増田さんが祝詞(のりと) をあげる横にちょこんと並んで座り、お父さんのあげる祝詞をゆっくり唱えるそうです。

『どんな難病を患って産まれてこようとも、一生植物人間であっても 自分たち(夫婦)は喜んで子供を育てる。髪を金髪に染め、ピアスを何個も付け、木刀を振り回しても、元気ならば全く構わない』と語る増田さんの希望は、同時に、大多数の母親の一番遠いところにある理想でもありました。

元来、人間が神仏に祈る本当の意味とは、生命を授かるという、無限大に近い小さな確立で起こる奇跡に対して感謝を捧げることでした。 敗戦と同時に戦前の神道教育の反省という名目で意図的に米国主導でスタートした日本の新しい教育制度。そこで命の尊さを学ぶことはありませんでした。

拝 Rocky Tamotsu




 



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